関節リウマチ

関節リウマチ

関節リウマチとは

指や手足の関節が腫れてきて痛む、朝おきると関節がこわばって痛いのが関節リウマチの特徴です。関節リウマチは女性に多く、中高年に多いですが、若い人にもおこります。最初は手の関節の腫れや指のむくみ等ですが、進行すると関節が変形してきます。
関節リウマチは、関節を包む「滑膜」と呼ばれる薄い膜に炎症が持続的に起こってくる膠原病のひとつです。

この滑膜が、絶え間ない炎症によって徐々に大きくなり、さらなる炎症が引き起こされます。そうなると、痛みや熱の素となる物質が大量に関節の中に充満し、今度はそれを目掛けてさまざまな炎症を引き起こす細胞が侵入してきます。この中には、骨を壊す細胞である、破骨細胞が存在し、破骨細胞が軟骨や骨の細胞を溶かしていくことで、「骨びらん」、「骨破壊」が起こります。
これがさらに進行してくると、骨の変形により関節の形が保てなくなる「亜脱臼」や、一旦溶かされた隣り合った骨同士が一つの骨になる「骨強直」が起こります。
こうなってくると、筋肉を動かすための腱が切れてしまい、関節そのものが動かせなくなってきますので、日々の生活にとてつもない負担が掛かることになります。

早期発見

関節リウマチは、1980年代頃までは、慢性関節リウマチと呼ばれていた時期もあり、進行や発症からの変形は、とてもゆっくりとした病気であると考えられていました。
しかし現在では無治療の場合、発症から2年間に骨の変形自体がほとんど完成してしまうことが知られており、特に発症から3ヶ月以内の早期発見と治療開始が重要であることもわかってきました。これは、進んでしまった骨の変形が元に戻らないことや、変形前に治療した方が治療効果も高く、薬剤も効率よく使用できる場合が多いためです。
現在、関節リウマチの検査については、大きく分けると血液検査と画像検査になります。

血液検査

血液検査では一般的なもの含め、複数の検査を用いて診断しますが、直接的な診断に使用されるものとしては主に、「リウマチ因子(RF)」と「抗CCP抗体」の2種類があります。
RFは、昔から使用されているマーカーのひとつであり、関節リウマチ患者さんでは、約70%程度で陽性となります。最近では、健康診断にも含まれている場合がありますが、関節リウマチ以外の病気でも陽性となることも多く、健康な方でも約20%程度は陽性であることから、これだけで診断することは原則ありません。
抗CCP抗体は、関節リウマチ患者さんの滑膜に対する抗体で、RFに比べて関節リウマチに対する感度や特異度が高い検査となっております。現在では、RFと抗CCP抗体を両方測定し、より精度の高い診断につなげる事が多くなっております。

迅速血液検査機

画像検査

関節リウマチにおける画像検査で主なものは、「関節レントゲン」「MRI」「関節エコー」になります。
関節レントゲン検査は、最も一般的な画像検査で、骨や関節の形を見て診断します。
短い時間にたくさんの関節を見る事ができ、費用もそれほどかかりませんが、骨に変形が起こっていない発症早期では判断が難しいこともあります。

MRI検査は、関節レントゲンよりもさらに早期に骨の変形を見る事ができ、特殊な造影剤を使用する事で炎症の有無を調べることも可能です。現時点で最も感度の高い検査にはなりますが、クリニックで所有されている施設は限られており、検査時間も長いためにたくさんの関節を一度に見ることはできません。専門家でも診断が分かれる状況で選択される事が多い検査となります。
関節エコー検査は、心臓や腹部などに用いられる超音波機で、関節の中を見て診断する検査になります。比較的新しい検査方法ですが、低侵襲で簡単に行え、その場で直接関節の炎症がわかる数少ない検査になります。しかし、たくさんの関節を検査すると少し時間がかかることや、他の病気との判別が難しい場合もあります。診断だけでなく、治療効果の判定にも用いられる事が多いです。

レントゲン

関節リウマチの治療

関節リウマチの治療は、暴走した免疫の異常を抑制あるいは調整していく事が主体になります。この場合に用いられる薬剤を「抗リウマチ薬(DMARD)」と呼びます。
大きく分けると従来型抗リウマチ薬、生物学的抗リウマチ薬(生物学的製剤)、分子標的抗リウマチ薬になります。

従来型抗リウマチ薬

従来型抗リウマチ薬は、関節リウマチと診断された場合にまず初めに開始される薬剤になります。その最も代表的な薬として、「メトトレキサート」があります。1980年頃より世界的に使用されている薬剤であり、高い有効性、安全性を有する薬剤になります。しかし、高齢者や合併症によっては使用が難しい患者さんもおられるため、その場合にはその他の薬剤を使用していきます。

生物学的抗リウマチ薬

「生物学的製剤」と呼ばれる事が一般的ですが、生物由来(主にヒト)の成分を用いた、炎症に関わる物質(=サイトカイン)を直接的に抑える薬剤になります。生物学的製剤は、他の薬剤と異なり、点滴や皮下注射で体内に直接投与する薬剤になります。比較的新しい薬剤にはなりますが、従来型抗リウマチ薬と比較して、高い有効性を備えており、使用率も徐々に増加しております。現在でも薬価が非常に高額であることが問題ですが、近年「バイオシミラー」と呼ばれるジェネリック医薬品に類似したものが登場し、かなり薬剤費用も抑えられる形にはなってきております。

分子標的抗リウマチ薬

最近になり承認された最も新しい抗リウマチ薬になります。「ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬」が主流であり、従来型抗リウマチ薬と比較しても高い効果があり、生物学的製剤と異なり経口内服薬となります。しかし、現時点では薬価が高額である点などの問題点があります。

副腎皮質ステロイド

関節リウマチ治療において欠かせない治療薬が「副腎皮質ステロイド薬」です。抗炎症作用、免疫抑制作用を有するホルモンで、短期〜中期的な疾患活動性や身体機能の改善、関節破壊の抑制効果を発揮します。
しかし、長期使用によってさまざまな副作用を生じてきます。そのため治療選択肢が乏しく、病気の悪化が命に関わる様なその他の膠原病治療と異なり、関節リウマチ治療で使用する場合には、「短期間」「最低限」が推奨されております。
適切に使用することで、早期に症状を緩和させ、抗リウマチ薬の治療効果を高めることもできる薬剤となります。

ステロイド薬についてご不安な点、分からない点がありましたら、お気軽にご相談ください。